資産形成の成功は「アセットアロケーション」で決まる?初心者こそ知っておきたい投資の黄金ルール
- 根本 寛朗

- 2025年12月30日
- 読了時間: 5分
銀行や証券会社の窓口で、「いまはこの銘柄がおすすめです!」「将来はこの通貨が値上がりしそうです」といった話を聞いたことはありませんか?
魅力的な商品を紹介されると、つい「どの商品がいいかな?」と、目先の銘柄選びに意識が向いてしまいがちです。
しかし実は、長期的な運用成果を大きく左右するのは、個別の商品選びではありません。
もっとも大切なのは、「アセットアロケーション(資産配分)」という土台づくりです。
今回は、投資リターンの“変動要因の約9割”を説明するとされるアセットアロケーションの重要性について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
1. アセットアロケーションとは?「投資のレシピ」を決めよう
アセットアロケーションとは、「どの商品を買うか」よりも先に決める、資産運用の基本ルールです。
「アセット」は資産、「アロケーション」は配分を意味します。具体的には、自分の大切なお金を「株式」「債券」「不動産」「現金」など、異なる性質の資産に、どのような割合で振り分けるかを決めることです。
よく、ポートフォリオ(具体的な銘柄の組み合わせ)と混同されますが、次のように考えると分かりやすくなります。

アセットアロケーション →「肉・魚・野菜をどのくらいのバランスで食べるか」という献立・レシピ
ポートフォリオ →「どのスーパーで買った、どの銘柄の食材か」という具体的な材料の組み合わせ
アセットアロケーションは、いわば資産運用の設計図です。
2. 驚きの事実|運用成果は「資産配分」で決まる?
「どの株が上がるかを当てることが大事」と思われがちですが、実は学術的な研究によって、意外な事実が示されています。
1986年に、ブリンソン(Gary Brinson)、フッド(L. Randolph Hood)、ビーバウアー(Gilbert Beebower)が発表した論文“Determinants of Portfolio Performance” では、年金基金の運用成績が分析されました。
その結果、運用リターンの変動の大部分(おおよそ90%前後)が、「資産配分の決定」によって説明できることが示されています。(※ここでいう90%とは、リターンの水準そのものではなく、リターンの変動要因を指します)
後の追試研究でも、約91〜93%程度という近い数値が報告されています。
投資成果を左右する3つの要素
アセットアロケーション(資産配分)
→ 約91%(運用成果の変動要因)
銘柄選択(どの株・商品を選ぶか)
→ 約3〜5%
マーケットタイミング(いつ売買するか)
→ 約1〜2%

この結果から分かるのは、「いつ、どの銘柄を売買するか」に悩むよりも、「どの資産に、何%ずつ配分するか」を考える方が、長期的な資産形成にははるかに重要だということです。
(※なお、この考え方の基礎となる「現代ポートフォリオ理論」を確立したハリー・マークウィッツ氏は、1990年にノーベル経済学賞を受賞しています)
3. 基本的なアセットクラス(資産の種類)を知ろう
アセットアロケーションを考える際は、似た性質を持つ資産をグループ化します。これをアセットクラスと呼びます。
国内株式・外国株式 高いリターンが期待できる一方、値動き(リスク)も大きい
国内債券・外国債券 リターンは控えめだが、値動きは比較的安定している
不動産(REIT)・コモディティ(金など) 株式や債券とは異なる動きをすることがある
ポイントは、「値動きの異なる資産(片方が下がると、もう片方が下がりにくい関係)」を組み合わせることです。
この性質を活かすことで、資産全体が大きく目減りするリスクを抑えつつ、安定した運用を目指すことができます。

4. 自分に合った配分はどう決める?
アセットアロケーションに、万人共通の正解はありません。年齢、目的、リスクをどの程度受け入れられるかによって変わります。
積極的に増やしたい方
→ 株式の比率を高める
守りを重視しながら増やしたい方
→ 債券や現金の比率を高める
参考例として、私たちの年金を運用している**GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)**は、長期・安定運用を目的に、
国内株式
外国株式
国内債券
外国債券
をそれぞれ25%ずつ配分するアセットアロケーションを基本としています。

5. 運用を続けるためのメンテナンス「リバランス」
一度配分を決めても、市場の動きによってバランスは少しずつ崩れていきます。
例えば、当初25%だった株式が値上がりし、40%まで増えてしまうこともあります。
このズレを、元の配分に戻す作業を「リバランス」と呼びます。
値上がりした資産を一部売り、値下がりした資産を買うことで、結果的に「高いときに売り、安いときに買う」行動につながります。
一般的には、数年に1回程度、または配分が大きく崩れたタイミングで見直す方法がよく用いられます。

まとめ|まずは「設計図」を描くことから
投資を考え始めると、「今、何を買えばいいのか」「手数料の安い商品はどれか」といった情報に目が向きがちです。
しかし、皆さまが賢くお金を育てていくために大切なのは、自分のライフプランに合った資産配分という「設計図」を、最初に描くことです。
将来、いつ・いくら必要かを整理する
自分に合ったアセットアロケーションを考える
その方針に合う商品を選ぶ
まずは情報を整理しながら、少しずつ「自分なりの資産のレシピ」を考えていくことから始めてみてはいかがでしょうか。


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