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「日本だけに資産を置かない」という選択。円安・インフレ時代を生き抜くポートフォリオ戦略

執筆者の写真: 菅沼 誠紘
菅沼 誠紘
5 分前
読了時間: 5分

日本銀行が2026年8月31日に公表した「資金循環の日米欧比較(2026年第1四半期)」によると、2026年3月末時点で、日本の家計金融資産に占める「現金・預金」の割合は47.2%となっています。

米国の10.7%、ユーロエリアの31.1%と比較しても、日本の家計金融資産は現預金の割合が高いことが分かります。

長年続いたデフレ下では安全性の高い現預金を多く保有することにも一定の合理性がありましたが、インフレと円安が同時進行する現在、預金金利を上回る物価上昇が続けば、その実質的な購買力は低下していきます。

もちろん、生活防衛資金や近い将来に使う予定のお金まで投資に回す必要はありません。現預金には、家計を守るための大切な役割があります。

一方で、長期間使う予定のない資産まで日本円の現預金だけで保有する必要があるのかは、一度考えてみてもよいでしょう。

例えば、日本銀行のデータによると、2016年5月のドル円相場は月中平均で1ドル=約109円でしたが、2026年5月には月中平均で約158円となっています。

約10年間で大幅に円安が進行し、対米ドルで見た円の価値は約31%低下したことになります。

名目上の預金額が変わらなくても、円安が進めば、海外の商品やサービス、海外旅行や留学などに必要な円の金額は増えていきます。

つまり、資産を日本円だけで保有することにも「為替」という視点ではリスクがあるということです。

このような時代において資産を守り・増やすために考えたいのが、「日本だけに資産を置かない」という資産分散です。

その選択肢の一つが、「海外不動産」を活用した分散投資です。

なぜ今、海外不動産を選択肢として考えるのか?

海外不動産をポートフォリオに組み込む理由は、単なる高利回り狙いだけではありません。主な特徴は以下の3点に集約されます。

通貨分散

米ドルや現地通貨建ての資産を保有することにより、資産を日本円だけに集中させることを避けられます。

円安局面では外貨建て資産の円換算額が上昇する場合があり、円資産とは異なる値動きをする資産を持つことで、ポートフォリオ全体の通貨分散につながります。

一方で、円高になれば外貨建て資産の円換算額が減少する可能性もあります。

そのため、「円安リスクを回避する」というよりも、複数の通貨に資産を分散するという考え方が重要です。

インフレへの備え

不動産は実物資産であり、物価上昇に伴って不動産価格や賃料が上昇する場合があります。

そのため、現金とは異なる特徴を持つ資産として、インフレへの備えとなる可能性があります。

ただし、不動産価格や賃料が必ず物価上昇に連動するわけではありません。景気や金利、立地、住宅供給などによって価格が下落することもあるため、物件ごとの分析が必要です。

人口増加・経済成長の取り込み

フィリピンやベトナム、UAEなど、日本とは異なる人口動態や経済成長局面にある国・地域があります。

人口増加や都市化、所得水準の上昇などによって住宅需要が拡大すれば、中長期的な不動産価格や賃料の上昇につながる可能性があります。

一方で、「人口が増えているから不動産価格も上がる」と単純に考えることはできません。

人口動態だけでなく、経済成長率、所得水準、住宅供給量、金利、外国人による不動産所有規制なども確認することが重要です。

目的・リスク許容度に応じた国選びが成功の鍵

海外不動産投資では「どの国が一番か」ではなく、「自分の目的に合うか」で判断することが重要です。

例えば、海外不動産を検討する際には、

安定性と資産保全を重視する場合:法制度や登記制度、政治・経済の安定性、外国人による不動産所有制度などを確認する。

成長性を重視する場合:人口動態や都市化、経済成長、所得水準の変化、住宅需要などを確認する。

インカム収入を重視する場合:表面利回りだけではなく、空室率、管理費、修繕費、税金などを差し引いた実質的な収益性を確認する。

といったように、目的によって見るべきポイントも変わります。

シンガポール、オーストラリア、アメリカ、フィリピン、タイ、マレーシア、カンボジア、モンゴルなど、国によって不動産市場の特徴や法制度、外国人が購入できる不動産の範囲は大きく異なります。

「この国なら安全」「この国なら高利回り」と国名だけで判断するのではなく、実際の物件や立地、法制度まで確認することが重要です。

海外不動産だからこそ確認しておきたいリスク

海外不動産には、日本国内の不動産とは異なるリスクもあります。

為替変動だけでなく、現地の法制度や税制、外国人による所有規制、物件管理、空室、修繕、売却時の流動性なども考慮する必要があります。

さらに、日本の居住者が海外不動産から賃料収入を得たり、海外不動産を売却したりした場合には、日本でも課税対象となります。現地でも所得税に相当する税金が課される場合には、一定の要件のもとで外国税額控除の対象となるケースがあります。

そのため、海外不動産は購入するときだけではなく、「保有している間」と「売却するとき」まで考えておくことが重要です。

また、海外不動産は日本から物件を直接確認することが難しいため、現地の管理会社や仲介会社、デベロッパーなどの信頼性も重要な判断材料になります。

まとめ

資産防衛の第一歩は「置き場所を分けること」です。

日本円の現預金だけではなく、国内外の株式や債券、不動産など、異なる値動きをする資産を組み合わせることで、特定の国・通貨・資産に偏るリスクを抑えることができます。

海外不動産も、その選択肢の一つです。

ただし、「海外だから値上がりする」「利回りが高いから有利」というものではありません。

また、海外への資産分散は、不動産を購入しなくても、外国株式や外国債券などを通じて行うこともできます。

大切なのは海外不動産ありきで考えることではなく、まず自分が「どの国に、どの通貨で、どのような資産を持っているのか」を確認することです。

表面利回りだけに惑わされず、各国の法制度、税制、為替、管理体制、物件そのものの価値、そして売却時の出口戦略までを見据えた上で、「日本だけに資産を置かない」という視点も持ちながら、自分の目的やリスク許容度に合った資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。

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