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インデックスファンドは「手数料」だけで選んでいいのか?見落とされがちなトラッキングエラーと純資産の話

  • 執筆者の写真: 根本 寛朗
    根本 寛朗
  • 6月7日
  • 読了時間: 3分

「インデックスファンドは、とにかく手数料が安いものを選べばいいですよね?」

ご相談の中で、こうしたご質問をいただくことは少なくありません。確かに、長期投資においてコストが重要なのは間違いありません。信託報酬が低いファンドほど、リターンを押し上げる効果が期待できるからです。

ただ、実務で多くの方の運用を見ていると、「手数料だけ」で判断してしまうのは少しもったいない、と感じる場面もあります。

その代表的な論点が「トラッキングエラー」と「純資産の動き」です。



■ トラッキングエラーとは何か


インデックスファンドは、TOPIXやS&P500などの指数に連動することを目的とした商品です。

しかし実際には、指数とまったく同じ値動きにはなりません。この「ズレ」をトラッキングエラーと呼びます。

たとえば、指数が年間で+10%だったのに、ファンドのリターンが+9.6%だった場合、0.4%分のズレが生じています。これがトラッキングエラーです。

このズレが小さいほど、「しっかり指数に連動できている良いファンド」と評価されます。

逆に、信託報酬がいくら低くても、このズレが大きければ、結果的に投資家のリターンは目減りしてしまいます。


■ なぜトラッキングエラーが発生するのか

トラッキングエラーの要因はいくつかあります。

・売買コスト(リバランス時のコスト)・配当の扱い(再投資のタイミング差)・現金比率の存在・為替の影響(外国株式の場合)・ファンドの運用手法(完全法かサンプリング法か)

特に純資産が小さいファンドや、資金の流出入が激しいファンドは、現金比率が高まりやすく、指数とのズレが出やすくなります。

つまり、「規模」と「安定性」も重要な判断材料になるのです。


■ 純資産の増減は“人気”だけではない

もう一つ見ていただきたいのが、純資産総額の推移です。

純資産が増えているファンドは、単に人気があるというだけでなく、

・資金流入が安定している・繰上償還リスクが低い・運用効率が高まりやすい

といったメリットがあります。

一方で、純資産が減少傾向にあるファンドは、将来的に繰上償還の可能性も出てきますし、規模の縮小によってトラッキングエラーが拡大するリスクもあります。

実際の現場でも、「昔は良いファンドだったが、純資産が減り続けて運用効率が落ちている」というケースは珍しくありません。


■ 手数料は“入り口”、本当に見るべきは“運用の質”


インデックスファンド選びは、どうしても「信託報酬ランキング」のような比較になりがちです。

もちろん、それ自体は重要な指標です。

ただ、そこから一歩踏み込んで、

・トラッキングエラーは安定して小さいか・純資産は継続的に増えているか・運用会社の体制は安定しているか

といった点まで見ていくと、より本質的な判断ができるようになります。

長期投資は「小さな差の積み重ね」です。

年率で0.2%の違いでも、20年・30年と積み重なれば無視できない差になります。

だからこそ、「安いかどうか」だけでなく、「きちんと指数に連動できているか」「安定して運用され続けるか」という視点を持つことが、結果的に資産形成の質を高めてくれると考えています。



■ 最後に


インデックスファンドはシンプルな商品に見えますが、実際には運用の中身に差が出やすい分野でもあります。

表面的なスペックだけでなく、その裏側にある「運用の質」に目を向けること。

この視点を持つだけで、同じインデックス投資でも、結果は大きく変わってくるはずです。

もし今お持ちのファンドについて、「本当にこれでいいのか?」と感じることがあれば、一度トラッキングエラーや純資産の推移を確認してみてください。

そこに、次の一手のヒントが隠れているかもしれません。

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