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AIで情報格差が縮む時代、専門家に求められるものとは?

  • 執筆者の写真: 根本 寛朗
    根本 寛朗
  • 9 時間前
  • 読了時間: 7分
AIで情報格差が縮む時代、専門家に求められるものとは?

AIの普及によって、専門家と相談者の関係は大きく変わっていくと思っています。

これまで金融、保険、不動産、法律、税務などの専門分野では、

「専門家は知っている。相談者は知らない」

という状態が少なからずありました。

いわゆる「情報の非対称性」です。

もちろん、今でも専門家と一般の方との間には、知識や経験の差があります。

しかし、その差は以前よりも確実に小さくなっています。

インターネットで調べる。

SNSで経験者の意見を見る。

そして今では、AIに質問する。

以前なら専門家に相談しなければ分からなかったことも、相談する前にある程度調べられるようになりました。

私は、この変化によって専門家の価値がなくなるとは思っていません。

むしろ、

これまで情報格差によって見えにくかった「専門家の本当の価値」が、これからはより明確になる

のではないかと思っています。

「知らない相手に説明する」という前提が変わっていく

例えば保険の相談を考えてみます。

以前であれば、相談者が保険商品の仕組みをほとんど知らない状態で相談することも珍しくありませんでした。

しかし今なら、相談する前にAIへ、

「この保険にはどんなデメリットがありますか?」

「同じ目的なら、他にどんな方法がありますか?」

「この保障は本当に必要ですか?」

「契約する前に確認した方がいいことは?」

と質問できます。

投資でも同じです。

商品の特徴、コスト、過去の値動き、考えられるリスクなどを調べてから相談することができます。

もちろん、AIの情報が常に正しいとは限りません。

それでも、

相談者が何も知らないことを前提に専門家が説明する時代ではなくなっていく

という変化は大きいと思います。

顧客が詳しくなることを、専門家は歓迎できるか

私は、ここが一つの分岐点になると思っています。

相談者が事前に調べてくる。

商品のデメリットを知っている。

他の選択肢も知っている。

AIで比較した結果を持ってくる。

それを、

「やりにくくなった」

と考えるのか。

それとも、

「より良い相談ができるようになった」

と考えるのか。

専門家としての姿勢が表れるところだと思います。

相談者の知識が増えることで困るのであれば、

もしかすると、それまでの価値の一部は「相手が知らないこと」に支えられていたのかもしれません。

私はむしろ、


相談者にはできるだけ知識を持ってもらった方がいい

と思っています。

知識があれば、より深い話ができます。

疑問があれば質問してもらえる。

提案の理由についても議論できます。

そして何より、本人が理解したうえで意思決定できます。

専門家にとって重要なのは、

「自分の方が詳しい状態を維持すること」

ではないはずです。

AIによって「説明できない提案」は難しくなる

AIによって情報へアクセスしやすくなると、専門家には今まで以上に説明力が求められると思います。

「なぜ、この提案なのですか?」

「なぜ、この商品なのですか?」

「他の選択肢ではダメなのですか?」

「デメリットは何ですか?」

こう聞かれたときに、きちんと答えられるか。

専門家だから。

会社の方針だから。

一般的だから。

みんなが選んでいるから。

ではなく、

「あなたの場合は、こういう理由でこの選択肢を考えています」

と説明できること。

AIによって変わるのは、単に情報量ではありません。

私は、

専門家側の提案理由まで問われるようになる

ことの方が重要だと思っています。

情報格差が縮むほど「誠実さ」の差が見える

情報の非対称性が大きい環境では、相談者は専門家の説明が正しいのかを判断することが難しい場合があります。

メリットだけを説明する。

デメリットを小さく扱う。

他の選択肢を説明しない。

自分が取り扱える商品の中だけで考える。

相談者が知らなければ、それでも成立してしまうことがあります。

しかし、相談者自身が情報を調べられるようになると、そうした姿勢は以前より見えやすくなります。

だから私は、

AI時代は、専門家にこれまで以上の誠実さが求められる時代

だと思っています。

必要なら勧める。

必要がなければ勧めない。

メリットがあれば伝える。

デメリットも伝える。

自分の提案より良い選択肢があるなら、それも伝える。

分からないことは分からないと言う。

これはAIが登場したから必要になったことではありません。

本来、専門家が以前から持つべき姿勢です。

AIによって、それがより問われるようになるだけだと思っています。

情報を知っていることと、判断できることは違う

一方で、AIによって情報格差が縮まっても、専門家が不要になるわけではありません。

情報を知っていることと、

その情報を自分の状況に当てはめて判断できること

は別だからです。

例えば、

「株式は長期的な資産形成に活用できる」

という情報を知っていたとしても、

どの程度投資するのか。

いつまで運用するのか。

どのくらいの下落まで耐えられるのか。

住宅購入や教育費とのバランスはどうするのか。

いつから取り崩すのか。

答えは人によって違います。

保険でも同じです。

商品の保障内容を理解することと、

「自分にはどの保障が、いくら必要なのか」

を判断することは違います。

情報そのものが手に入りやすくなるほど、

「では、自分の場合はどうなのか」

という部分の重要性は、むしろ高くなると思っています。

FPなら「NISAとは?」に答えるだけでは足りない

例えば、

「NISAを始めたいです」

という相談があったとします。

NISAの制度を説明するだけなら、今はAIでもかなりできます。

なのでFPが、

制度を説明して、

商品を紹介して、

「では始めましょう」

だけでは、十分な価値とは言いにくくなっていくと思います。

私なら、その前に、

なぜNISAを始めたいのか。

何のためのお金なのか。

いつ使う予定なのか。

現在どのくらい資産があるのか。

住宅購入や教育費など、他に大きな支出予定はないのか。

どの程度の価格変動なら続けられるのか。

といったことを考えます。

場合によっては、

「今は投資より先にやることがあります」

という結論になることもあります。

ここに、情報だけではない専門家の価値があると思っています。

AIで可視化される「専門家の本当の価値」

私は、

「AIによって専門家の価値が下がる」

という表現には少し違和感があります。

むしろ、

AIによって、それまで専門家が何を価値として提供していたのかが可視化される

のではないでしょうか。

価値の中心が、

「自分だけが知っている情報」

だったのであれば、AIの影響は大きいでしょう。

しかし、

相手の状況を理解する。

本人も気づいていない課題を見つける。

複数の選択肢を整理する。

経験からリスクを想像する。

必要なら「おすすめしません」と伝える。

意思決定を支援する。

実行をサポートする。

その後も状況の変化に合わせて伴走する。

こうしたことを価値としているのであれば、AIによってすべてがなくなるとは思いません。

専門家の価値は「情報量」から離れていく

これから専門家に必要なのは、AIより多くの情報を覚えることではないと思っています。

もちろん、専門知識は必要です。

ただ、

「AIより物知りであること」

を競争軸にすることには限界があります。

それよりも、

何を見るのか。

どう考えるのか。

何を優先するのか。

何を勧めないのか。

どう説明するのか。

そして、誰の利益を考えて判断するのか。

こうしたところに、専門家としての差が出てくると思います。

まとめ|相談者が詳しくなることを歓迎できる専門家でありたい

AIによって、専門家と相談者の情報格差は縮まっていくと思います。

私は、それを専門家にとっての脅威だとは考えていません。

相談者が自分で調べられる。

専門家の提案を検証できる。

他の選択肢を知ることができる。

疑問があれば質問できる。

それは、相談者にとって良いことです。

そして専門家にとっても、

「情報を持っていること」以外の価値が問われるようになる。

良い変化だと思っています。

AI時代に専門家として考えるべきなのは、

「AIに仕事を取られるか」

ではなく、

「相談者が自分と同じ情報を持っていたとしても、それでも自分に相談する価値は何か」

ではないでしょうか。

その問いに答えられる専門家であり続けること。

そして、

相談者が詳しくなることを歓迎できる専門家であること。

私は、それがAI時代に専門家として求められる姿勢の一つだと思っています。

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