top of page
Finfinity_logo

こどもNISAは親の教育費口座ではない。まずは自分たちのNISAを優先したい理由

執筆者の写真: 根本 寛朗
根本 寛朗
6 時間前
読了時間: 11分

こどもNISAは親の教育費口座ではない。まずは自分たちのNISAを優先したい理由

2027年から、未成年者も利用できる新しいNISAが始まります。

子どもが生まれたら、すぐに積立を始める。 毎月少しずつ投資をして、18歳になる頃にはまとまった資産を準備する。

非常に良い制度だと思います。 運用期間を長く取れることは、資産形成において大きなメリットです。

ただ、制度について考える中で、私は一つ気になることがあります。

それは、

「子どものNISAも親が管理しているのだから、必要になれば自由に使える」

と思っている方がいることです。

例えば、子どものNISAで600万円を運用し、将来1,000万円になったとします。 大学進学のタイミングで教育費に使う。 使わなければ、そのまま親の老後資金に回す。 あるいは、住宅購入の頭金が足りなくなったら一部を引き出す。 そんな考え方をしているのであれば、一度整理しておいた方がよいと思っています。

こどもNISAは、親が自由に使える非課税投資枠を増やす制度ではありません。 あくまでも、子ども本人のための制度です。

こどもNISAとは?2027年から何が変わるのか

2027年1月から、NISAのつみたて投資枠が0~17歳にも拡充されます。

主な制度内容は次のとおりです。



項目

0~17歳の制度

開始

2027年1月

年間投資枠

60万円

非課税保有限度額

600万円

非課税保有期間

無期限

投資対象

長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託

払出し

原則制限あり。一定要件の下、12歳以降は可能

成人後

成人向けNISAへ自動移行

年間60万円なので、月額にすると5万円です。

出生時から積み立てられるのであれば、非常に長い運用期間を確保できます。

また、600万円というのは購入金額ベースの非課税保有限度額です。

運用によって評価額が600万円を超えても、それ自体は問題ありません。

ただし、最初に理解しておきたいのは、その資産が誰のものなのかという点です。

子どものNISAに入れるお金は、基本的に贈与になる

例えば、親が子どものNISAへ年間60万円を拠出したとします。

親が働いて得たお金を、子ども名義の口座へ移して投資する。

これは基本的に、親から子への財産の贈与として考える必要があります。

ここは今回、特に強調したいところです。

日本証券業協会が2026年6月に改定したNISAガイドラインでも、未成年者の口座に入れる資金は本人に帰属するものに限定され、親や祖父母から提供する場合には、すでに贈与された資金であることを確認するよう求めています。


つまり、

親が運用を管理していることと、その資産が親のものであることは別です。

子どもの口座を借りて、親自身のお金を非課税で運用する制度ではありません。

年間60万円なら贈与税はかからない?

通常の暦年課税では、1年間に受けた贈与の合計額から110万円の基礎控除を差し引いて贈与税を計算します。


そのため、親から子どもへ年間60万円を贈与し、ほかに贈与がなければ、通常は基礎控除の範囲内です。

ただし、次のケースではどうでしょう。

親から60万円。

祖父母から60万円。

合計120万円です。

この場合、暦年課税では110万円の基礎控除を超えます。

贈与税の基礎控除は、贈与する人ごとに110万円ではありません。

贈与を受ける子どもについて、年間の贈与額を合計して考えます。

親からの贈与だけを見て「60万円だから大丈夫」と判断しないようにしたいところです。

なお、相続時精算課税を選択している場合などは別途確認が必要です。

毎年60万円なら、何年続けても大丈夫?

毎年の贈与についても、少し注意があります。

例えば、毎年その都度60万円を贈与するのであれば、通常は各年の贈与として考えます。

一方で、最初から10年間にわたって毎年60万円を渡す契約をしている場合には、その契約内容によって定期金に関する権利の贈与と評価される可能性があります。

国税庁も、毎年の贈与と、複数年にわたる給付をあらかじめ約束した契約を区別しています。


「年間110万円以内なら、何も考えずに移してよい」

というわけではありません。

資金を子どもへ贈与するのであれば、贈与の事実や資金の移動を確認できるようにしておきたいところです。

「教育費のためだから贈与税はかからない」でもない

ここも混同しやすい部分です。

親が子どもの授業料や教材費など、通常必要な教育費を負担することについては、原則として贈与税はかかりません。

しかし、その取扱いは、必要な都度、直接教育費などに充てるためのものです。

教育費という名目で子どもへお金を渡しても、それを預金したり、株式や投資信託の購入資金に充てたりする場合は、同じ非課税の取扱いにはなりません。


つまり、

「大学の授業料を親が支払う」

ことと、

「将来の大学費用として子どものNISAに600万円を入れる」

ことは別です。

将来の教育費を準備することと、子どもへ財産を贈与することは、同じではありません。

この違いは、資産形成の方法を選ぶ前に押さえておきたいところです。

12歳以降も、親が自由に引き出せるわけではない

新しいこどもNISAでは、一定の要件を満たせば12歳以降に払出しが可能になります。

ただし、何にでも使えるわけではありません。

原則として、子ども本人の教育費や生活費に充てるための払出しであることが必要です。

また、子ども本人の同意を得たうえで、親権者等が金融機関へ必要な書面等を提出する仕組みです。

厳密な年齢判定は、その年の3月31日に12歳である年を基準に行われます。


例えば、子どもの進学費用や生活費に使うことは、一定の要件のもとで認められます。

一方、

親の住宅ローン返済。

親自身の老後資金。

家計が苦しくなったので親の生活費に回す。

といった使い方を、自由に行うことはできません。

また、払出し資金は子ども本人に帰属するため、金融機関は原則として子ども本人名義の口座へ払い出す取扱いになります。


親が一度引き出してしまえば自由になる、というわけでもありません。

なお、制限に反して払い出した場合には、非課税措置が適用されなくなり、過去の運用益等に課税される可能性があります。


私は、こどもNISAを教育資金に利用する場合でも、払出しの条件まで理解しておく必要があると思っています。



18歳になったら、親が自由に管理することはできない

今回の記事で、一番伝えたいのはここです。

こどもNISAで積み立てた資産は、子どもが18歳になると、本人が管理していくことになります。

日本証券業協会のガイドラインでも、18歳になると親の法定代理権が消滅するため、原則として本人から取引注文を受けることとされています。


なお、成人向けNISAへの制度上の自動移行は、1月1日時点の年齢によって判定されます。

18歳の誕生日と成人向けNISAへの移行日は、必ずしも同じ日ではありません。

ただし、資産の所有者が子ども本人であることに変わりはありません。

例えば、親が18年間積み立ててきた資産が1,000万円になっていたとします。

親としては、

「大学費用に使ってほしい」

「できれば社会人になっても運用を続けてほしい」

「将来の住宅購入資金にしてほしい」

と思うかもしれません。

しかし、18歳になった子どもが別の使い道を考える可能性もあります。

もちろん親子で話し合うことは大切です。

ただ、その資産をどう使うかを決めるのは、所有者である子ども本人です。

親が積み立てたからといって、成人後も親の判断で自由に売却したり、自分の口座へ戻したりできるわけではありません。

また、成人後に子どもの財産を親へ無償で移すのであれば、今度は子どもから親への贈与という税務上の問題も生じます。

ここまで考えたうえで利用する制度だと思っています。

まずは親自身のNISAを優先したい

「子どもが生まれたら、年間60万円を積み立てた方がいいですか?」

こう聞かれたら、私はまず家計全体を確認します。

子どもの将来のために資産を準備することは大切です。

ただ、その前に考えるべきこともあります。

住宅購入。

生活防衛資金。

教育費。

そして、親自身の老後資金です。

例えば、子ども2人のNISAに毎月5万円ずつ積み立てれば、年間120万円。

10年間で投資元本は1,200万円になります。

子どもたちにとっては、将来大きな資産になる可能性があります。

しかし一方で、

親自身のNISAはほとんど使っていない。

住宅ローンもある。

教育費以外の貯蓄は少ない。

老後資金はこれから。

という状態だったらどうでしょう。

子どもの資産は増えても、親の老後資金が不足してしまうかもしれません。

しかも、子どもへ贈与した資産は、親が自由に使える資産ではありません。

私は、子どものためにお金を残したいのであれば、まず親自身の経済的な基盤を整えることも重要だと思っています。

親の老後資金が不足した結果、将来子どもに経済的な援助を求めることになってしまえば、何のために子どもの資産形成を優先したのか分からなくなってしまいます。

親自身のNISAで教育費を準備してもいい

例えば、子どもが大学に進学するまでに500万円を準備したいとします。

その500万円は、必ずしも子どものNISAで準備する必要はありません。

親自身のNISAで運用し、必要になったときに教育費として使う方法もあります。

親名義の資産であれば、子どもの進路や家計の状況に応じて使い道を調整できます。

例えば、

公立から私立へ進路が変わった。

下宿費用が必要になった。

奨学金を利用することになった。

想定より教育費が少なく済んだ。

こうした変化にも対応しやすくなります。

余った資金を、そのまま親自身の老後資金として運用し続けることもできます。

もちろん、教育費を株式などで運用する場合には、使う直前に市場が下落する可能性も考えなければなりません。

大学進学の直前まで全額を株式で運用することが、必ずしも合理的とは限りません。

使う時期が近づいた資金は、預金などへ段階的に移すことも検討します。

ここで大切なのは、

親のNISAで教育資金を準備することと、子どものNISAで財産を贈与することは、そもそも目的が違う

ということです。

親が教育費を負担するための資金なら、親名義で準備する。

成人した子どもに自由に使える財産を渡したいのであれば、子ども名義で準備する。

私は、このように考える方が分かりやすいと思っています。

子どもに財産を渡すことが目的なら、こどもNISAは有効

もちろん、こどもNISAそのものを否定しているわけではありません。

むしろ、目的が明確であれば非常に良い制度です。

例えば、

親自身の老後資金は十分に準備できている。

生活防衛資金も確保している。

教育費は別途準備している。

そのうえで、子どもが成人したときに財産を渡したい。

という家庭です。

こうした場合には、こどもNISAは有効な選択肢になると思います。

祖父母から孫への資産承継を考える際にも、活用の余地があります。

ただし、その場合も贈与税の取扱いを確認する必要があります。

大切なのは、

子どもへ財産を渡すつもりで始めること。

親の非課税枠を増やす目的で始めるものではありません。

お金だけでなく、金融リテラシーも渡したい

もう一つ、私はこどもNISAには金融教育としての価値もあると思っています。

子どもが成長する中で、

なぜ積立投資をしているのか。

投資信託は何に投資しているのか。

なぜ評価額が増えたり減ったりするのか。

複利とは何か。

こうしたことを親子で話すきっかけになります。

ただ18歳になったときに、

「これがあなたの資産です」

と渡すだけではなく、そこに至るまでの考え方も伝えていく。

そして、本人が資産を管理するようになったときに、自分で判断できるようにしておく。

私は、これも親から子どもへ渡せる大切な財産だと思っています。

こどもNISAは、親の追加口座ではない

新しい制度が始まると、

「せっかく非課税枠が増えるのだから、使わなければもったいない」

と考えたくなるかもしれません。

しかし、非課税枠を使い切ること自体が目的になってはいけません。

利用する前に、考えておきたいことがあります。

これは本当に、子どもへ贈与するお金なのか。

18歳以降、子どもが自分の判断で使うことを受け入れられるか。

そして、親自身の老後資金や家族の教育費は十分に準備できているか。

ここが整理できているのであれば、こどもNISAは子どもの将来の選択肢を広げる有効な制度になると思います。

一方、単純に非課税枠を増やしたい、教育費を親の判断で管理したいという理由だけなら、まずは親自身のNISAを活用する方法も考えたいところです。

資産形成では、

「どの制度を使うか」

「いくら非課税枠があるか」

という話になりやすいものです。

しかし私は、それ以前に、

「誰のためのお金なのか」

を決めることが大切だと思っています。

こどもNISAは、親のための追加口座ではありません。

子ども本人の将来のための資産です。

まずは親自身のライフプランを整える。

そのうえで、子どもに渡す資産を考える。

制度のメリットだけではなく、贈与と所有権まで理解したうえで利用したいと思っています。

本記事は2026年9月28日時点で公表されている制度・法令・ガイドラインをもとに作成しています。実際の口座開設、運用管理および払出し手続きについては、利用する金融機関の最新情報をご確認ください。贈与税の取扱いは個別の資金移動や契約内容によって異なります。

コメント


bottom of page