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ポンジスキームとは?「最初は儲かる」からこそ気づきにくい投資詐欺の仕組み

執筆者の写真: 根本 寛朗
根本 寛朗
1 日前
読了時間: 14分
ポンジスキームとは?「最初は儲かる」からこそ気づきにくい投資詐欺の仕組み

「毎月安定して配当が入ります」

「元本はほとんど減りません」

「すでに何年も運用実績があります」

こう聞くと、魅力的な投資に感じるかもしれません。

しかも、実際に最初の数カ月は配当が振り込まれる。

紹介してくれた知人も利益を受け取っている。

管理画面を見ると、自分の資産も順調に増えている。

試しに少額を出金してみたら、本当に銀行口座へお金が入ってきた。

ここまで確認できれば、

「きちんと運用されているんだ」

と思ってしまうのも不思議ではありません。

ただ、投資詐欺の中には、最初にきちんとお金を支払うこと自体が、信用させるための仕組みになっているものがあります。

その代表が「ポンジスキーム」です。

警察庁が現在注意喚起しているSNS型投資詐欺でも、偽の利益を表示した後、その一部を少額だけ実際に被害者へ振り込み、信用させてから高額の資金を入れさせる手口が紹介されています。

私は、ここがポンジスキームを理解するうえで非常に重要だと思っています。

少額の出金に成功したことを、その投資の安全性の証明にしてはいけません。

ポンジスキームとは何か

仕組み自体は、それほど複雑ではありません。

例えばAさんから100万円を預かり、

「この資金を運用して、年12%の利益を出します」

と説明したとします。

通常の資産運用であれば、その100万円を株式、債券、不動産、事業などで運用し、そこで生まれた利益から配当や分配を行います。

ところがポンジスキームでは、十分な運用をしていない、あるいはそもそも運用実態がありません。

後から参加したBさんやCさんから集めたお金を、Aさんへの「配当」として支払います。

Aさんから見れば、本当に毎月お金が入ってくる。

そのため、

「ちゃんと利益が出ている」

と思います。

しかし実際には、運用利益ではありません。

新しく入ってきた資金を、以前からいる参加者への支払いに回しているだけです。

新しい資金が入り続けている間は、しばらく仕組みを維持できます。

しかし、新規資金が減る、あるいは出金希望が増えれば、いずれ資金繰りは行き詰まります。

なぜ最初はきちんと配当を払うのか

詐欺なら、

「最初からお金を持って逃げればいいのでは?」

と思うかもしれません。

でも、それでは大きなお金を集めにくい。

100万円を預けて、翌月から何も返ってこなければ、多くの人はすぐにおかしいと感じます。

一方、

100万円を投資する。

毎月1万円入ってくる。

半年経っても支払いが続く。

管理画面では資産が増えている。

10万円だけ出金してみたら、本当に振り込まれた。

こうなると心理は変わります。

「もう少し増やしてみよう」

「銀行に置いているお金も回そう」

「家族にも教えてあげよう」

となりやすい。

つまり、最初の配当は、

投資が安全であることの証明ではなく、より大きなお金を入れてもらうための信用づくり

として機能することがあります。

実際、警察庁が示すSNS型投資詐欺の流れでも、偽の利益を表示し、一部を少額だけ振り込んだ後、高額な偽利益を見せ、全額を引き出すための手数料などを要求する手口が紹介されています。

だから、

「配当が出ている」

「一度出金できた」

だけでは、安全性を判断できません。

詐欺の「看板」は時代に合わせて変わる

ポンジスキームの基本的な構造そのものは、昔から大きく変わっていません。

変わるのは、何を使ってその仕組みを説明するかです。

以前から、

「海外のプロトレーダーがFXで運用している」

「独自の自動売買システムがある」

「通常では利用できない海外の金融商品を使っている」

といった説明による投資トラブルはありました。

金融庁は現在も、SNS上で無登録の海外FX業者を紹介する事例や、正規の金融商品取引業者を装って資金を振り込ませる事例について注意喚起しています。

最近では、そこに、

暗号資産ブロックチェーンAI自動売買海外取引所

など、その時代に注目されている言葉が使われることもあります。

ここは誤解しないでいただきたいのですが、

FXや暗号資産、ブロックチェーン、AIそのものが怪しいという話ではありません。

技術や金融商品そのものと、それを利用した詐欺は別です。

私が気になるのは、

「AIだから高い利回りが出せる」

「ブロックチェーンだから安全」

「海外だから日本ではできない特別な運用ができる」

といった言葉は出てくるのに、

肝心の利益がどこから生まれているのかが分からない

という状態です。

金融庁にも、マッチングアプリやSNS等をきっかけに海外事業者へ誘導され、暗号資産取引を行ったものの出金できない、といった相談が寄せられています。

投資詐欺は、新しい技術とともに生まれたわけではありません。

昔からある仕組みに、その時代に信用されやすい言葉を載せているだけ

というケースもあります。

例えば「海外FXで毎月3%」

一つ、想定例を考えてみます。

知人から、

「海外でFXを運用しているプロのチームがある」

「平均して月3%程度出ている」

「100万円から参加できる」

と紹介された。

100万円を入れると、翌月3万円。

その翌月も3万円。

半年ほど問題なく振り込まれる。

そこで、

「資金が多い方が効率的に運用できます」

と言われ、500万円追加する。

さらに、

「今だけ特別枠があります」

と1,000万円を勧められる。

ところが、出金しようとすると、

「海外なので税金を先に払う必要がある」

「マネーロンダリング対策の保証金が必要」

「現在システムを更新している」

などと言われ、出金できない。

そして追加の送金を求められる。

このような話で重要なのは、

本当にFXで運用されていたのか

です。

取引画面がある。

毎日数字が動いている。

月次レポートが送られてくる。

それだけでは、第三者が実際に市場で運用していることの証明にはなりません。

金融庁も、無登録業者や海外業者を通じた取引について、登録の有無を確認するよう繰り返し注意喚起しています。

暗号資産×ブロックチェーン×紹介報酬

現在であれば、例えば、

「新しいブロックチェーンプロジェクトです」

「上場前のトークンなので今なら安く買えます」

「預けておけば年30%で増えます」

「知人を紹介すると紹介料も入ります」

といった形も考えられます。

ここにMLM、いわゆるネットワーク型の仕組みが組み合わされる場合があります。

AさんがBさんを紹介する。 BさんがCさんを紹介する。

紹介した人数や、参加者の購入額などに応じて報酬が増える。

すると参加者自身が、次の参加者を集める役割を担うようになります。

ここで法的な整理も必要です。

MLMという言葉で呼ばれる仕組みすべてが、一律に違法というわけではありません。

日本では、一定の要件を満たすものは「連鎖販売取引」として特定商取引法の規制対象となり、勧誘目的の明示や広告表示、禁止行為などについてルールが設けられています。

ですから、

「紹介制度がある=詐欺」

ではありません。

私が確認したいのは、

実際の事業や運用による利益よりも、新しい参加者を連れてくることが重要になっていないか

です。

投資の説明より、

「あと3人紹介するとランクが上がる」

「友人を連れてくれば利回りが上がる」

「紹介した人の投資額の一部が入る」

という話の方が多い。

そうであれば、私は一度、投資そのものの収益構造を確認します。

MLMが加わると見抜きにくくなる理由

知らない営業マンから、

「この投資は絶対に儲かります」

と言われれば、多くの人は警戒します。

しかし、

学生時代からの友人。 会社の元同僚。 信頼している経営者。 長年付き合いのある知人。

から、

「自分もやっていて、本当に配当が入っている」

と言われたらどうでしょう。

警戒心は下がります。

しかも、その紹介者自身も騙されている場合があります。

悪意を持って勧誘しているわけではなく、

「本当に良いと思っているから教えてあげたい」

と考えている。

だから難しい。

紹介者を信用できるかどうかと、投資そのものを信用できるかどうかは別です。

私は、ここを分けて考える必要があると思っています。

マッチングアプリから始まるロマンス投資詐欺

さらに注意したいのが、マッチングアプリやSNSです。

最初から投資の話をするとは限りません。

仕事。

趣味。

食事。

旅行。

将来の話。

毎日やり取りを続けて、少しずつ信頼関係や恋愛感情を作っていく。

そして、

「実は暗号資産で運用している」

「家族に金融関係者がいて、良い情報を知っている」

「二人の将来のために一緒に資産を作りたい」

と投資の話が出てくる。

この時点では、相手はもう心理的には「知らない人」ではありません。

警察庁はSNS型ロマンス詐欺について、SNSやマッチングアプリ等で実際に会わないまま親近感や恋愛感情を持たせ、暗号資産や架空の投資へ誘導する手口を明示しています。出金しようとすると追加送金を求められるケースも紹介されています。

実際に、警察庁が公開している事例には、オンラインで知り合った相手から暗号資産の短期取引を勧められ、40代男性が約700万円の被害に遭ったケースもあります。

投資知識だけでは防ぎにくい理由がここにあります。

投資判断をする前に、

感情による信頼関係が作られている

からです。

私は、恋愛と投資の話が同じところから出てきた場合には、完全に切り離して考えた方がよいと思っています。

海外への送金を求められたら、一度止める

ここは少し強めに考えていいと思っています。

もちろん、

海外送金そのものが危険という話ではありません。

海外留学費用。

海外不動産。

正規の事業取引。

正規の金融機関を利用した国際的な資産運用。

海外送金には普通に正当な利用目的があります。

一方で、

SNSで知り合った人。 マッチングアプリで知り合った人。 知人から紹介された、実態のよく分からない投資。 登録を確認できない海外業者。

こうした相手から、

「海外銀行口座へ直接送金してください」

「指定した海外ウォレットへ暗号資産を送ってください」

と言われた場合には、私は原則として一度止めるくらいでよいと思っています。

金融庁も、無登録で金融商品取引業や暗号資産交換業を行う者との取引について注意喚起し、登録業者かどうかを確認するよう呼びかけています。

今は日本の登録金融機関を通じても、世界中の株式、債券、投資信託、ETFなど幅広い資産へ投資できます。

それにもかかわらず、

「この海外口座へ直接送らなければ投資できない」

というのであれば、

なぜ国内の正規金融機関では取り扱えないのか

を確認した方がいい。

ただし、もう一つ重要なのは、

国内銀行口座を指定されたから安全、というわけでもない

ということです。

警察庁が紹介するSNS型投資詐欺でも、指定された銀行口座への振込みによる被害が数多く確認されています。

見るべきなのは国内か海外かだけではありません。

誰に、何の目的で、そのお金を送っているのか。

ここです。

「出金するために税金を払ってください」

これも注意したいパターンです。

100万円投資した。

管理画面では300万円になった。

そこで出金しようとすると、

「出金には税金30万円が必要です」

と言われる。

30万円払う。

すると次に、

「保証金50万円が必要です」

と言われる。

さらに、

「大口出金なので追加認証費用が必要です」

と言われる。

ここで働くのが、

すでに入れたお金を取り戻したい

という心理です。

300万円取り戻せるなら、

あと30万円。

あと50万円。

と支払ってしまう。

警察庁もSNS型投資詐欺について、高額な偽利益を表示した後、全額を引き出すための手数料などを要求する流れを紹介しています。

私は、

自分のお金を引き出すために、さらに次々と資金を送らなければならない

という状態になったら、そこで追加送金を止めるべきだと思っています。

利益が出ている「画面」は資産の証明ではない

現在の投資詐欺は、見た目もかなりよくできています。

ログインすると、

投資額 500万円評価額 647万円本日の利益 +3万8,000円

と表示される。

チャートも動く。

取引履歴もある。

担当者とチャットもできる。

一見、本物の証券会社の画面と区別しにくいかもしれません。

しかし、

画面に647万円と表示されていることと、647万円の資産が実際に存在していることは別です。

警察庁も、偽の利益を表示して被害者を信用させる手口を具体的に紹介しています。

だから私は、

「管理画面で増えている」

ことを、運用実績の証明にはしません。

高いリターンだから詐欺、ではない

ここも分けて考える必要があります。

年20%だから詐欺。

暗号資産だから詐欺。

海外だから詐欺。

ではありません。

大きなリターンが出る投資は実際にあります。

当然、その反対に大きな損失が出ることもあります。

重要なのは、

そのリターンが何から生まれているのか

です。

株式なら企業利益や企業価値の成長。

債券なら金利や信用リスク。

不動産なら賃料や物件価値。

暗号資産も、それぞれの仕組みに応じた収益源とリスクがあります。

例えば、

「年30%出ます」

と言われたら、

なぜ30%出るのか。

何のリスクを取っているのか。

誰が運用するのか。

資産はどこに保管されるのか。

第三者による確認や監査はあるのか。

ここを見ます。

リターンの説明ばかりで、

リスクの説明がほとんどない投資

には、私はかなり慎重になります。

「金融庁登録済み」と書いてあっても自分で確認する

日本で金融商品取引業や暗号資産交換業を行う場合には、法令に基づく登録が必要です。

金融庁は、登録事業者を検索できる仕組みを公開するとともに、無登録業者との取引に注意するよう呼びかけています。

ただ、

ホームページに、

「金融庁登録済み」

と書いてあるだけでは十分ではありません。

正規の金融事業者の名称や登録番号をかたるケースもあります。金融庁も、実在する金融商品取引業者を装った投資勧誘について注意喚起しています。

ですから、

会社名。

登録番号。

所在地。

電話番号。

公式サイト。

を、自分で金融庁の情報と照合する。

ここまでやってもいいと思っています。

私が投資話を聞いたときに確認すること

利回りだけではなく、私は少なくとも次のような点を確認します。

  • 利益の源泉を具体的に説明できるか

  • 高いリターンに見合ったリスクの説明があるか

  • 誰が運用し、資産をどこで管理しているのか

  • 登録が必要な事業であれば、正規に登録されているか

  • 紹介報酬が投資そのものより前面に出ていないか

  • 出金条件が事前に明確になっているか

  • 実態不明の口座やウォレットへの送金を求められていないか

  • 「絶対」「必ず」「元本保証」といった説明がないか

  • 出金するために追加資金を求められていないか

一つ当てはまったから、即座に詐欺だという話ではありません。

ただ、いくつも当てはまるのであれば、

「投資する理由」を探すのではなく、「一度やめて確認する」段階

だと思っています。

被害は今も大きい

警察庁によると、2026年1月から7月までのSNS型投資詐欺は6,566件、被害額は約881.2億円。

SNS型ロマンス詐欺も3,037件、被害額は約293.2億円に達しています。SNS型投資詐欺は前年同期比で件数75.6%増、被害額88.6%増となっています。

これは、決して一部の人だけの話ではありません。

そして、

「金融知識がない人だけが騙される」

とも限らないと思っています。

投資を少し知っているからこそ、

「裁定取引ならあり得るかもしれない」

「暗号資産ならそれくらい動くこともある」

「海外には日本にはない金融商品がある」

と、自分の知識を使って説明を補完してしまうこともある。

知識があることと、詐欺に遭わないことは必ずしも同じではありません。

私が一番確認したいのは「その利益はどこから来るのか」

新しい投資の話を聞いたとき、

利回り。

過去実績。

配当。

AI。

ブロックチェーン。

海外。

有名人。

そうした言葉を見る前に、私はまず考えます。

「この利益は、何によって生み出されているのか」

ここが説明できないのであれば、利回りを比較する段階ではありません。

そして、

「友人も儲かっている」

「実際に配当が振り込まれた」

「少額なら出金できた」

「紹介してくれた人を信用している」

ということも、安全性の証明にはなりません。

ポンジスキームは、

信用されなければ成立しません。

だからこそ、最初は信用できるように作られています。

資産運用では、

分からないものに投資しない。

これは、とても大切な判断だと思っています。

さらに私は、

会ったことのない人から勧められた投資にお金を出さない。

実態の分からない海外業者やウォレットへ直接資金を送らない。

出金のために追加送金を求められたら、そこで止める。

このくらい慎重でもいいと思っています。

新しい金融商品や技術が出てきても、見るべきところは変わりません。

名前ではなく、仕組みを見る。

利回りではなく、利益の源泉を見る。

そして最後に、

「なぜ、こんなに条件の良い投資を自分に勧めているのだろう?」

と一度考えてみる。

資産を増やすためには、投資先を選ぶ力が必要です。

同時に、

投資しないと判断する力も、資産を守るための大切な金融リテラシーだと思っています。

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