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「特別支給の老齢厚生年金」をご存知ですか?

執筆者の写真: 斉藤 孝平
斉藤 孝平
15 時間前
読了時間: 5分

「特別支給の老齢厚生年金」をご存知ですか?

公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、「65歳になる前(60歳〜64歳)に年金が受け取れる」経過措置として「特別支給の老齢厚生年金」があります。

「なぜ65歳より前にもらえる時期があるの?」「自分は対象になるの?いつから受け取れるの?」

といった疑問を持つ方に向けて、本記事では制度が導入された背景から受給要件、受け取る際の注意点までを分かりやすく解説します。

『特別支給の老齢厚生年金が設けられた背景』

特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金の支給開始年齢を60歳から65歳へ段階的に引き上げるための経過措置として設けられた制度です。

・支給開始年齢引き上げに伴う「経過措置」

昭和60(1985)年の法改正により、厚生年金の支給開始年齢が段階的に60歳から65歳へと引き上げられることになりました。

受給開始年齢を一度に引き上げるのではなく、生年月日に応じて段階的に移行するために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」です。

・「定額部分」と「報酬比例部分」の段階的な引き上げ

制度移行にあたっては、年金の「定額部分」と「報酬比例部分」について、生年月日に応じて段階的に受給開始年齢が引き上げられてきました。

現在、一般の対象者に支給される特別支給の老齢厚生年金は、主に「報酬比例部分」となっています。

・65歳支給への移行期間を支える制度

特別支給の老齢厚生年金は、60歳から65歳への支給開始年齢引き上げを段階的かつ円滑に進めるための制度です。

そのため、対象となる世代は限定されており、今後は対象者がいなくなる経過的な制度となっています。

『主な受給要件と支給開始年齢』

特別支給の老齢厚生年金を受け取るには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

【生年月日要件】

・男性:昭和36(1961)年4月1日以前生まれ・女性:昭和41(1966)年4月1日以前生まれ

※一般的な厚生年金加入者の場合。共済組合等から支給される老齢厚生年金については、女性も男性と 同じ支給開始年齢となります。

※昭和36年4月2日以降生まれの男性、昭和41年4月2日以降生まれの女性は、原則として65歳から老齢厚生年金を受給することになります。

【加入期間要件】

・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていること・厚生年金保険などの被保険者期間が「1年以上」あること・生年月日に応じた受給開始年齢に達していること

【支給開始年齢のステップ】

男性については、一般の対象者の特別支給の老齢厚生年金の支給開始はすでに終了しており、2026年現在は主に女性が対象となっています。

一般の女性の場合、

・昭和37(1962)年4月2日~昭和39(1964)年4月1日生まれ:63歳 ・昭和39(1964)年4月2日~昭和41(1966)年4月1日生まれ:64歳

から特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

受給権は、受給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)に発生し、その翌月分から年金の支給対象となります。

『働く人(受給者)への影響と重要な注意点』

65歳を迎える前に年金収入が得られるため、60代前半の働き方や退職時期を考えるうえでも確認しておきたい制度です。

【3つの注意点】

【1】繰下げ受給による「増額」ができない

65歳以降の本来の老齢年金とは異なり、特別支給の老齢厚生年金には、受給開始を遅らせることで年金額を増やす「繰下げ受給」の制度はありません。

「今は給与があるから、受け取らずに後から増額してもらおう」と考えても、特別支給の老齢厚生年金は増額されません。

受給権が発生したら、速やかに請求するのが基本です。

【2】5年の時効に注意(自動支給されない)

年金は、受給権が発生すると自動的に振り込まれるものではありません。

受け取るためには、自分で年金請求の手続きを行う必要があります。

手続きが遅れた場合、請求した時点から5年以上前の年金については、時効により受け取れなくなる場合があるため注意が必要です。

【3】給与や失業給付との調整(支給停止)

60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、給与だけではなく賞与も含めた「総報酬月額相当額」と、老齢厚生年金の「基本月額」の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。これが「在職老齢年金」です。

2026年度の支給停止調整額は月額65万円です。

また、特別支給の老齢厚生年金を受ける方がハローワークで求職の申込みをした場合、原則として求職申込みをした月の翌月から雇用保険の基本手当の受給終了まで、特別支給の老齢厚生年金が全額支給停止となります。

働きながら年金を受け取る場合や、退職後に失業給付を申請する場合には、年金との調整についても確認しておきましょう。

まとめ:申請漏れを防ぎ確実に受け取ろう

特別支給の老齢厚生年金は、受給開始年齢が60歳から65歳へ移行するために設けられた「経過措置」です。

対象となる方(一般的には男性:昭和36年4月1日以前生まれ、女性:昭和41年4月1日以前生まれ)には、受給開始年齢に達する3カ月前に日本年金機構から「年金請求書」が送付されます。

65歳以降の年金とは違い、特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度がなく、受給を遅らせても増額されません。

「働いているからまだ請求しなくてもいい」「65歳まで待てば増える」と考えて請求を後回しにしないことが大切です。

届いた案内を確認し、受給権が発生したら速やかに手続きを行いましょう。

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